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生茶に見る攻めのキャンペーン

キリンビバレッジ「生茶キャンペーン」の成功は記憶に新しいのではないでしょうか。実は、これほどの大規模キャンペーンにおいて、日本語ドメインが使われたのは初めてのケースでした。日本語ドメインを選択した狙いはどこにあったのでしょうか。キリンビバレッジの小川氏、大西氏に「生茶キャンペーン」の舞台裏を伺いました。

■日本語ドメインを採用する

キリンビバレッジでは?
http://www.beverage.co.jp/
キリンビバレッジの小川氏(左)と大西氏(右)
次々と新機軸のキャンペーンを世に放つ、キリンビバレッジの営業企画担当者

小川氏:「ドメインは長ければ長いほど、分かりにくいし、覚えにくい。4年前にファイアでデジタルキャンペーン(Webキャンペーン)を始めたときから、それは意識していました。 簡単に応募できる反面、アドレスを入力するのは面倒くさい。デジタルキャンペーンにはそのような難しさがあります。

キリンビバレッジは、「生茶」「午後の紅茶」などのヒット商品を世に放つと共に、数々のキャンペーンで成功を収め、キャンペーンの先駆者として第一線を走り続けています。攻めの姿勢を貫く同社が、2004年、実施したのが「生茶キャンペーン」です。そこで新機軸として打ち出したのが「日本語ドメイン」の採用でした。大規模なWebキャンペーンで、「日本語ドメイン」が使われたのは初めてのケースでした。なぜ、「生茶.jp」という日本語ドメインを取り入れたのでしょうか? その背景・狙いはどこにあるのでしょうか?ユーザーのリアクションはどうだったのでしょうか? 舞台裏を直撃します。

■デジタルキャンペーン黎明期を切り開く

4年前のキリンファイアのキャンペーン開始時は、PC+3キャリア(NTTドコモ、au、J-PHONE)の4パターンのURLを使うのか? というところから出発したそうです。同業他社がまだデジタルキャンペーンに参入していない状況で、手探りでキャンペーンを実施していた様子が伝わってきます。
ひとつのURLでユーザーの振り分けができることが分かった次には、ドメインはどうするのか、という課題が出てきました。しかし、分かりやすく覚えやすいドメインを取得することに関しては最初からスタッフ間で共通の認識がありました。アクセスのしやすさを追求する姿勢は、「生茶.jp」に象徴されるように、着実に受け継がれています。最終的に、キャリア別に用意した「k-fire.com」サイトに各々のユーザーを振り分ける形に落ち着き、2か月のキャンペーン期間中に1,000万アクセスを記録、アクセスへのハードルを可能な限り取り除いた成果といえるでしょう。

■「生茶.jp」「namacha.jp」、併用のワケ

生茶キャンペーンの確定した実施データは以下のとおりです。

キャンペーンサイトへの総アクセス数:910万件
ページビュー:9,600万
延べ参加人数:100万人
レスポンス率:18%(※2003年のデータ)

小川氏:「 “生茶.jp”という日本語ドメインを選んだ理由は、ひとつはアクセスの手段を増やしたい、と考えたからで、ふたつめは覚えやすいという点からです。たしかに、現状では日本語ドメインがアクセスできる環境は不完全ですが、今後普及してもらいたいですし、他社に先駆けて日本語ドメインを活用することが、宣伝にもつながるという側面もあります。当社の社風として、日本初が好き、というのもありましたしね(笑)」

キャンペーンサイトのドメイン戦略で月刊「宣伝会議」編集長・田中 里沙氏は、企業にとって多様化している接触機会を逃さないためには、ユーザーとの接点をどんどん積み上げていくことが重要である、とドメイン露出の必要性を説いています。キリンビバレッジの「生茶キャンペーン」もまさしくそれに合致したものであり、ドメイン露出を増やすことはどこの企業でも行っていますが、同社ではそれをもう一歩進め、ドメインそのものの選択肢を増やしました。

■「生茶.jp」出し惜しみ

日本語ドメインを採用したキリンビバレッジですが、「生茶.jp」の告知は全媒体を通じて行われたわけではありません。接触機会を増やすということを考慮すれば、媒体すべてに告知を打つべきですが、あえて媒体を絞りました。媒体を絞った理由はなんだったのでしょうか? その基準は? 背後に何らかの戦略が隠されていたのでしょうか?

小川氏: 「“生茶.jp”のアドレスは、雑誌広告など、しっかり読んでもらえそうな媒体には掲載しました。逆に、交通広告などには掲載しませんでした。記載、不記載の媒体は、大体半々くらいです。掲載する媒体を絞ったのは、日本語ドメインに対するリアクションが未知数だったからです」

現状では、日本語ドメイン対応のWebブラウザを使用しているユーザーは少なく、日本語ドメインを掲載すれば、アクセスできない人からの問い合わせが増え、最悪の場合、対応窓口がパンクすることも考えられます。したがって掲載媒体を半数に絞ることで、リスク回避に努めたというわけです。接触機会を増やすことと日本語ドメインに戸惑うユーザーへの対応の優先順位がつけられないという命題への答えとして、媒体を絞ったともいえます。ここで蓄積された日本語ドメインに関するデータは、次回以降のキャンペーンに生かされていくことでしょう。

■「生茶.jp」キャンペーンを終えて

「生茶.jp」のアクセス数は、3万件を記録しました。総アクセス数910万件のうちの0.3%にすぎませんが、「全体の半分の媒体でしか告知していない」「日本語ドメインに対して、詳細な説明を特に記載していない」という点を考慮すれば、評価されるべき数字といえます。
3万件という数字には、携帯電話でも日本語ドメインが使えたということも寄与しています。携帯で「日本語JPアクセスサイト」にアクセスし、入力フォームに、たとえば「生茶」と日本語ドメインを打ち込むとアクセスできます。このように、徐々に日本語ドメインの環境が整ってきていることも、キリンビバレッジが日本語ドメインを採用した理由のひとつなのでしょう。

日本語JPアクセスサイト  http://jajp.jp/

ちなみにキリンビバレッジに寄せられた日本語ドメインに対するユーザーの声は下記のようなものでした。

  • これはキリンさんで作ったものですか? キリンさんのキャンペーンでしか使えないのでしょうか?
  • 初めて日本語を使ってみましたけど、簡単なんですね?
  • 珍しいから、友達にも教えてあげようと思います
  • 自分の名前の漢字も登録できるんですか?  等々

■日本語ドメインで相乗効果を狙う

生茶キャンペーンサイトのドメインは「namacha.jp」ですが、実は「namacya.jp」でもアクセスできます。ローマ字ではこのような表記のブレが発生しますが、漢字だとその危険性は少なくなります。「ナマチャ」という語感から想起できるドメインがすべてアクセス可能という配慮が行き届いた事例だといえます。

もはやドメインが目新しいものではない中において、日本語ドメインはインパクトと利便性を与え得る存在といえるかもしれません。

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