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商品パッケージとURLの関係

商品パッケージとドメインにはブランディングを行う上で、どのような関係性があるのでしょうか。また、ドメインを積極活用する立場の企業は、実際のところドメインをどのようにとらえているのでしょうか。 積極的にドメインを活用している企業のひとつである「明治製菓」の宣伝媒体グループ 森氏・舩木氏、そして、IR広報室 中村氏に同社のドメイン戦略について伺いました。

■明治製菓の隠し球、「ゼロ媒体」ってなに?

明治製菓では?
http://www.meiji.co.jp/
明治製菓 森氏(右)と舩木氏
カール、フランなどのブランド商品を製造・販売する明治製菓の宣伝、広報担当者

舩木氏:「パッケージを手に取っているということは、少なくとも、商品に興味があるということ。お客さまは明治製菓を体感したいというよりも、商品を体感したいということです。企業サイトのトップページからだと、商品サイトにたどりつけない人も出てきます。 迷わずに商品サイトに来てもらうために、商品パッケージに記載されたURLを直打ちしてもらうことがベストなんです」

既存の4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)にインターネットを加えた5媒体が、現在、大きな影響力を持っている主要広告媒体です。明治製菓では、この5媒体のほかに、商品パッケージを「ゼロ媒体」と考え、重要視しています。商品パッケージをほかの5媒体と同格に扱っているというだけではなく、「ゼロ媒体」として扱っているのは、なぜでしょうか。
冒頭の舩木氏の言葉のように、商品を手に取っているユーザーは、既に何らかの興味を抱いていると考えられます。商品に興味を持つユーザーに対しては、企業サイトを間に挟むのではなく、商品の世界観を直接、商品サイトで伝えることがより重要であり、そこではユーザーとメーカーの距離が限りなく“ゼロ”に近くなっていると考えられます。

明治製菓が商品パッケージを「ゼロ媒体」ととらえ、マーケティング投資をしている商品(看板商品)に対して積極的に「商品名.jp」を展開している理由はここにあります。明治製菓では商品ブランド力を高めることにより、最終的には明治製菓本体のブランディング強化を狙っているのです。

当Webドメインマーケティング事務局が実施した調査でも、明治製菓のWeb戦略を後押しする結果が出ています。商品パッケージの場合、「広告をよく目にする媒体」としての順位は第5位ですが、「広告からURLを打ち込んだことのある媒体商品」では、第3位に躍進しています。商品パッケージの重要性が立証された例だといえます。

■失敗で分かったゼロ媒体の大切さ

明治製菓は、2002年のサイトリニューアルを機に、現在のようなWeb戦略に移行しました。それまでは、同業他社と同様に企業サイトにぶら下がる形で商品ページが存在していましたが、看板商品のオリジナルサイトを創設する、ドメインの統一ルールを設けるなどのWeb戦略はその頃に確立されました。
しかし、移行の過程で失敗もありました。スナック菓子「カール」のサイトをリニューアルしたときに、アクセスが一向に増えないという事態が起きました。不審に思って調べたところ、商品パッケージにURLが記載されていなかったことが判明しました。その後、 商品パッケージにURLを記載しはじめると、それに呼応する形でアクセス数が増えました。明治製菓が商品パッケージへのURL記載を重視しているのは、この失敗がもとになっています。

商品パッケージの裏には、「カール(karl.jp)」「フラン(fran.jp)」など、「商品名.jp」が簡単に明記されていますが、これは分かりやすく覚えやすいという以外に、実はPCサイトと携帯サイトの振り分けにも対応しており、ユーザーを自然な形でWebサイトに誘導することに成功しています。

例: http://karl.jp(カール:明治製菓)
http://fran.jp(フラン:明治製菓)

■ユーザーの立場に立ったドメイン選び

調査レポートのデータからも、明治製菓が積極的に「商品名.jp」を活用していることがうかがえます。アンケートの結果、「商品名.jp」が打ち込みやすいと回答したのは73.8%で、「www.企業名.co.jp/商品名/」が打ち込みやすいと回答した、22.3%を大きく上回っています。

明治製菓以外の菓子業界を広く見渡した場合、「商品名.jp」というドメインを積極的に選択しているところはそれほど多くありません。明治製菓は、ドメインをどのように選択しているのでしょうか。

森氏:「プッカのWebサイトのドメインは、ちょうどテレビCMの開始とタイミングが合ったので、“pucca.tv”とつけたんですが、それがURLだと理解してもらえませんでした。ですので、ドメインは原則として「.jp」を使っています。「.com」という選択肢もあるのですが、サイトの主体が日本だと訴えたいので使っていません」

明治製菓では、固有の名称を持つ商品の場合は、そのままドメインにします。ただ、アーモンドチョコレートやミルクチョコレートなど商標を取りにくい商品に関しては、商品の持つ世界観を生かすようなドメインをつける、といった使い分けを行っています。

ベッカムを起用したアーモンドチョコレートキャンペーンのときは、ベッカムが持つ世界観を生かすために、“b-love-almond.jp”を選択しました。お菓子を食べる機会というのは、複数の人が揃っている場合が多く、「b-love-almondのbってなにかなぁ、あ?、ベッカムのbか!」と少しでも楽しめる要素になることを想定しています。楽しさをより感覚的に味わってもらいたい、との考えから、「商品名.jp」や「キャッチコピー.jp」が使われています。

森氏:「 ドメインは業界人だけが分かるような内輪受け的なものではなく、お客さまに分かりやすいものを選んでいます。きのこの山・たけのこの里サイトは“kinotake.jp”ですが、一般市場は受け入れられるかな、と実は危惧していました。幸い浸透しましたが、ドメインの基本は商品名かキャッチコピーですね」

■明治製菓が考える携帯サイト運営術

覚えやすいドメインにこだわる理由のひとつが、携帯サイトにあります。特に交通広告など目に瞬間的に入ってくる広告に携帯サイトのURLをのせるときには、覚えやすいドメインが不可欠になってきます。
現在、携帯を使ったURL告知は、大きく3種類あります。

  • URLを打ってもらう。リンクをたどってもらう。
  • 空メールを送ってもらい、URL入りのメールを返信する。
  • QRコード(2次元バーコード)を使う。

明治製菓の場合、どの形態でURLを告知するかはケース・バイ・ケースですが、URLを直打ちしてアクセスしてもらうのが基本となります。しかしキャンペーンの場合は、空メールやQRコードの利用も視野に入れていく必要があります。

森氏:「サイトに誘導するためだけに、空メールは使いたくないですね。メールアドレスを送信するということに対して、お客さまが、“ん?どうしようかな?”とアクセスを躊躇されるのは本意ではないですから。しかし、キャンペーンのように明確な目的がある場合は、空メールも使います」

しかし、空メールを送信してもらうリスクについて、森氏は指摘しています。

森氏:「空メールを送るということは、自分のメールアドレスを知られてしまうということでもあります。個人情報は管理する側にもリスクとなるため、必要でない情報は取得するべきではありません」

■ドメインから踏み出す、お客さまへの第一歩

森氏:「明日はカールを食べよう、と前日から決意してスーパーに行く人なんて、100人に1人か2人ですよ。ほとんどのお客さまは、気軽な気持ちでお菓子を手に取っていくわけです。100円、200円のお菓子でお客さまに心理的負担をかけたくない。お菓子を食べることから始まって、Webに至るまで楽しんでほしいんです」

中村氏:「明治製菓は、お菓子のみならず健康食品、医薬品などいろいろな分野の商品を扱っています。もちろんWebサイトの役割も分野によって異なります。医薬品のサイトの場合は、医師・薬剤師に対する情報公開や情報交流の場として位置づけています。一方、お菓子のサイトは、たしかに問屋さんや小売店などの関係者も見にきますが、立ち位置はお客さまの方を向いています」

企業サイトで重要なのは、ターゲットをきちんと定めることです。明治製菓の場合は、ターゲットは顧客であり、まったくブレはありません。携帯サイト・PCサイトの振り分け、安易に個人情報を取得しない、などの指針は、顧客の方を向いているからこそ、なのです。しかし、商品パッケージを手に取る顧客は、自社製品に好意を持っている顧客であると同時に、移り気な顧客でもあるといえます。これを、自社のファンになってもらうにはどうしたらいいのか?

答えはひとつしかありません。顧客を大事にすること、です。 Webにおいて、顧客優先主義の第一歩は、分かりやすく、覚えやすいドメイン選定から始まります。顧客に商品の世界観を楽しんでもらうための近道を示すことが重要といえるでしょう。

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